5,元木田蔵から「週刊金曜日」編集部に----その2
(平成12年9月25日)

「週刊金曜日」ネット担当 宮本 有紀 殿


 今回の山西省残留日本兵問題に関心を示していただいたことには、會を代表してまづ感謝申し上げる。

 この問題を會として取りあげるには、いささか紆余曲折があり、旧軍を批判することは戦後の進歩派サヨクを喜ばせるだけではないのかといふ危惧もあれば、左右を問はずにメディアに広報活動をしかけることにも消極的な声が會としてもあつた。
 しかしながら、自分は會全体として、当事者のじいさんがたのためにも、あるひはこの問題に精力的に取り組んできた会員の努力に報ひるためにも、できうるかぎりのことをやらうと決意し、大規模な広報を展開させることとした。
 その理由は、大阪・読売が取りあげたとはいへ、まだまだ人口に膾炙した問題ではないといふのが第一、つぎに、この手の自己保身・事なかれ主義は、現代日本でも政府・官庁はもとより、ほとんどすべてのメディアないしは世間にも見られる精神現象であらう、といふのが第二のものであつた。

 ちかごろの保守回帰現象のなかには、浅薄な「アンチ・アンチ権力」といふものも色濃く散見され、會としてこの問題を取り上げるときに、まづ内部的な意見調整をしなければならなかつた。つまり、右らしからぬ運動であるといふ見方も当然あつたわけで、その切り口のありかたについて示唆をするなど、なにがしかの手間が要つた。
 しかしながら、人間の精神のありかたを問ふときに、あるひは日本人の精神のありかたを考へるときに、元来、やれ右だ、やれ左だといふことはありえまい。
 さういふスタンスで突つこんでいつたときに、たまたま反応していただけたのが、なんと「週刊金曜日」であつた。広報の會員からこの報告を受けた執行部としては、一部に衝撃が走つたと言つてもふしぎではないだらうと思はれる。
 自分もまた、半信半疑であつた。
 官僚体質ともいふべき自己保身、事なかれ主義を、右も左もなく討つとは言つても、はじめの広報文のなかには、この情報の出自として誤解なきやうに、明らかに「右」を示すつぎの語句が挿入してゐたからである。
いったい、これでも武人と言えるのでありましょうか?
光輝ある帝国軍人だと言えるのでありましょうか?

厚生省・総務庁の役人もまた、民族の公僕だと言えるのでありましょうか。

これが、戦後の進歩派左翼とは明らかにちがふ言語感覚であることは、読解力のあるブタにでもわかるだらう。「武人」「光輝ある帝国軍人」「民族の公僕」・・・、情報の出自として「右」ではないか、といふニュアンスになつてゐるのは明白である。
 さらには、該当ページ・参照ページには、鐵扇會トップへのリンクも貼つてあり、通常の知的好奇心を持つ者であれば、どんな組織や団体がこの運動を展開しているのかチェックしにかかることもごくごく自然なことであると言へるであらう。
 ましてや、相手は個人ではない。れつきとした活字メディアであるならば、掲載情報に対しては、できうるかぎりの情報を得た上で、申し出に際してはなにがしかの判断を下してゐるはづだ、と考へるのが、日本人の成熟した常識でもあるやうに思ふ。
 したがつて、

内容を検討させていただきました結果、本誌の「こんなこと、やってます」のコーナーで取り上げさせていただきたくご連絡差し上げました。

非営利団体の運動や仲間募集などの紹介をするコーナーです。
もしよろしければ、趣旨説明と、連絡先(代表の方のお名前・住所・電話番号・ホームページなど)を含めて15字×40行でお書きください。

このまま返信してくだされば、担当編集者の宮本に届きますので。

以上、用件のみ申し上げます。


の一行目「内容」とは、この「山西省--」問題の情報としての出自およびその周辺環境としてネットでたどれる情報等をある程度把握しての申し出であつたと理解するのが、おとな一般社会のしきたりであらうと思はれる。
 しかるに、すぐに以下のメールが来た。

早速のご返答ありがとうございました。
さて、今回添付していただいたHPを拝見いたしましたところ、 そちらが特定の政治思想団体であることがわかりました。このコーナーは、あくまでも市民運動の活動を紹介するところなので政治思想団体の活動を紹介することは この欄の趣旨になじみません。
よって、掲載の件は見送らせていただきたいと思います。悪しからずご了承ください。

以上、用件のみ申し上げます。

といふのは、貴社編集部の読解力の不足、情報の調査力の欠如を自ら露呈したものであると断じざるを得ない。
 
 われらは、もとより「週刊金曜日」に掲載をたのんだ覚へはまつたくない。
「これこれかういふ問題があるからWEBをごらんになつていただければありがたい」
といふ告知広報をなしたのみであることは、誰の目にも明らかであらう。
 それを、何を勘違ひしたのか、もはや力を失ふばかりである活字メディアの習ひ性か、こちらへの情報提供は、即掲載願ひだとばかり勝手に思ひこみ、かつまた使用語句からの直感も働かず、あげくのはてには、うかつにも周辺WEBのチェックもせず、自ら「掲載許可」を出し、舌の根も乾かぬうちに今度は自ら「掲載中止」を連絡してくるとは笑止千万と言はざるを得ない。
 ここまでが第一点である。

 つぎに、そちらからの二通目にあつたくだりである。

さて、今回添付していただいたHPを拝見いたしましたところ、そちらが特定の政治思想団体であることがわかりました。

であるが、まづ鐵扇會は目下、任意団体である。いかなる都道府県にも政治団体の届け出は出されてゐない。
 鐵扇會とは、ネットに生まれ、ネットで結ばれた史上初の国民運動であることをまづ銘肝していただきたい。すなはち、貴社は南京や慰安婦問題と同様、得意な誤解・誤読してゐることになる。

このコーナーは、あくまでも市民運動の活動を紹介するところなので政治思想団体の活動を紹介することはこの欄の趣旨になじみません。

自分は、メディアに携はる者として、かならず情報の信頼性・信憑性を自分で確認する。したがつて、上のことばがほんたうであるのか、貴社ホームページをつぶさに見てみた。

http://www.jca.ax.apc.org/kinyobi/konnakoto/konnakoto.html

これが、貴社からの申し出メールにあつた関係URLである。そこには

■米軍基地をなくす意見広告運動 サミット初日に意見広告を!
■名護市長リコール運動に向け 名護市全戸へのちらし配布に支援カンパを!
■「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会
■戦争犯罪と戦後補償を考える国際市民フォーラム
■許すな!憲法改悪・市民連絡会
■日の丸・君が代強制に反対する広島県民の会
■日本の侵略の歴史を知る和歌山の会(
■反天皇制運動連絡会

といふ語句がならんでゐる。苦笑せざるをえない。上のは、常識ある日本国民が見れば、だれが見ても、すべて「政治思想」に関はる組織団体のものであることは明らかである。
 すなはち、鐵扇會は、政治団体の届け出をしてをらず、そちらでいふところの「市民団体」であるにもかかはらず、また、政治思想団体の運動紹介を貴誌ではさんざんやつてゐるにもかかはらず、上のやうなメールを書くとはいつたいどういふことなのかといふ疑問が生じる。
 もしも「市民」といふことばにマスコミ同様、貴誌でも色をつけて用ゐてゐるのならば、「市民」といふことばは、すでに政治的ニュアンスのあることばと化してゐるのであつて、上で言ふところの

「市民運動を紹介するところで、政治思想団体はそぐはない」

といふのは、そのまま皮肉にも

「週刊金曜日は、進歩派左翼・市民サヨク・人権派を紹介するところであつて、愛国・憂国・右の人はそぐはない」

といふ、きはめて「政治的な言辞」であると断じざるを得ないこととなる。

 しかしながら、歴史を語り、人を憂ふといふことが、そんなに安つぽい陣取り合戦であつてよいのか?

 自分は、先に記したやうに、今回の「自己保身をはかる上官命令で取り残され、支那軍に編入されたあげく、脱走兵扱ひされて恩給も出ない」高齢の日本人のために、一つ右も左もなくやつてみやうぢやないかと決意して、ネットでの運動を展開してもらつた。
 また、週刊金曜日もまた、プロであるならば、当然、事前調査をして申し出メールをくれたのだらうと判断もした。
 しかるに、「右の人間は願ひさげだ」「調査もろくすつぽせずに申し出メールを送信した」といふのであれば、あまりにばかばかしいと言はざるを得ない。いつたい、さういふ精神で、政府官庁を指弾したり、大手マスコミを斬つたり、できるものであらうか?
 「載せてあげる」「やっぱりやめた」。
 「いい運動だね」「えーー! 右翼だったの?!」
そのあまりに幼稚な経緯に見え隠れするものこそ、今回指弾する澄田中将と同じ、自己保身と事なかれ主義ではないのか。

 ここに、以下の事項について、正式に貴誌の回答を要求する。

一、 はじめの申し出の際に、広報文の読み直し点検や該当WEB周辺のリンク等の調査もしないで、掲載提案メールをよこしたのか
一、 いはゆる「市民運動」を取りあげる際に、かうした事前調査の不足や確認作業の欠如は、貴誌では日常茶飯事なのか?
一、 旧軍を批判する者はリベラルな左しかゐないといふ固定観念のもとで、自己保身を図る精神性を斬り、旧軍でも日本人でも、日本主義にふさはしくない精神は批判をするといふ右の精神性が、貴誌には見えないがために、それで勘違ひしたのか?
一、 すでに書いたやうに、こちらには、貴誌への情報掲載の意志は当初よりない。また、誌面とそぐはぬといふ判断は、私企業であるならば、そちらの自由裁量の問題である。しかしながら、こちらがたのんでもゐないことを自ら申し出ておきながら、都合が悪いとたちまち取り下げる。それなら、せめて取り下げる際に、成熟したおとなにふさはしい物の言ひ方はできなかつたのか?
  (「こちらから申し出ておきながら、誠に恐縮ではありますが・・」が、ただしい日本語ではないのか?)
一、 鐵扇會は、任意団体である。いかなる都道府県にも政治団体の届け出はなされてゐない。しかるに、二通目のメールには「政治思想団体」といふへんてこな言ひ方がしてあつた。
米軍基地をなくす意見広告運動 サミット初日に意見広告を!
名護市長リコール運動に向け 名護市全戸へのちらし配布に支援カンパを!
「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会
戦争犯罪と戦後補償を考える国際市民フォーラム
許すな!憲法改悪・市民連絡会
日の丸・君が代強制に反対する広島県民の会
日本の侵略の歴史を知る和歌山の会
反天皇制運動連絡会

 貴誌の「こんなこと・・・」のページにあつた上のこれらの団体と、鐵扇會の定義のちがひは何か? 何が掲載基準になつてゐるのか。そして、さまざまな意見があつてよいのが民主主義社会であるならば、貴誌は「人権」を言はぬ者には人権はないといふファシズムを編集姿勢として堅持するのか?


以上、すみやかなる回答を求めるものである(28日いつぱいまで待つてもご回答なき場合には、マスコミ各社・一般企業に千数百のメール配信網をもち、自由民主党・首相官邸・朝日新聞社・東京大学等にこれまで十数回に及ぶ抗議糾弾活動をしてきた当會のノウハウを生かして、つぎの行動に移ることを通告申し上げる)。

平成12年(紀元2660年)9月25日
鐵扇會代表 會長  元木田 蔵

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